2019-01-01から1年間の記事一覧

ラブライブ!についてラブライバーが思うこと

どうも立月です。タイトルにもある通り今回はラブライブ!について書いていこうと思います。今まで黙っていましたが、僕はラブライブ!シリーズが大好きなんです。いわゆるラブライバーというやつですね。まあとにかくグッズやらCDやらを集めているわけです…

もう一度読む『竹取物語』:読者に寄り添う物語

はじめに 『竹取物語』と言えば、『源氏物語』と並ぶ日本の古典である。『源氏物語』にそう書かれるように、そしてそれを遡る作品が未だ見つからないように、「日本最古の物語」として捉えられている。 果たしてその時代の人がそれを(僕たちが認識するとこ…

平成最後の「ラブライブ!」論

「ラブライブ!」って何なのか。僕はテレビアニメは全部見たものの、それを咀嚼しかねているところがあって、とりあえず書き散らかしておこうと思います。 「物語」にはなっていない 「スクールアイドル」を目指すμ'sというグループ。それがこの物語の根幹に…

【アニメ評】「ケムリクサ」~何故EDを初音ミクが歌うのか~

2019年冬アニメ「ケムリクサ」のEDについて考察していきます。 kemurikusa.com スタッフクレジットの意味 3~11話のEDのスタッフクレジットでは、 エンディングテーマ 「INDETERMINATE UNIVERSE」 作詞・作曲・編曲:ゆうゆ ゆうゆfeat.ケムリクサ 上記のよ…

【映画評】「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」

映画「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」における風刺的側面についての一考察 はじめに さて、劇場版3部作の第3作である。とは言うものの、公開初日3期の制作が発表されたので、その中継ぎとしての意味合いもある…

【芸術評】クリスチャン・ボルタンスキー -Lifetime (大阪・国立国際美術館)

はじめに 2019年2月から5月にかけて国立国際美術館でクリスチャン・ボルタンスキーの回顧展(以下、ボルタンスキー展)が開催されている。これから本展覧会は東京と長崎にも巡回する予定だが、本記事で扱うのは大阪会場のみである。www.nmao.go.jp 本展覧会は…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑹

theyakutatas.hatenablog.com 目を醒ませ 目を醒ましたグリッドマン或いは響裕太 目を醒ました新条アカネ 慣性としての「日常」 目を醒ませ 目を醒ましたグリッドマン或いは響裕太 本作は、響裕太の「覚・醒」とともに幕を開ける。その時点で彼には過去の記…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑸

theyakutatas.hatenablog.com 本当の敵を見つけ出せ アンチ アレクシア 内海将 宝多六花 本当の敵を見つけ出せ アンチ 特撮ヒーロー作品において、長らく対立してきた敵が、実は敵ではなく、その背後に黒幕がいた、という構造を持つものは多い。 この作品で…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑷

theyakutatas.hatenablog.com 同盟を結ぼうか 「UNION」 和解 同盟を結ぼうか 「UNION」 ではここで、アニメ「SSSS.GRIDMAN」のオープニング主題歌だった、大石昌良の作詞作曲による「UNION」の冒頭を見てみよう。 目を醒ませ 僕らの世界が何者かに侵略され…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑶

theyakutatas.hatenablog.com 「日常」の創造 「日常」の破壊者 「日常」の創造 宮台真司は「終わらない日常」と化した社会を、オウム真理教のように終末を想像するか、援助交際する女子高生のように「まったりと生きる」しかないとし、そのうえで「まったり…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑵

theyakutatas.hatenablog.com 「日常」を創造せよ 「日常」の断絶 「セカイ」の創造 小さな「セカイ」 「日常」を創造せよ 「日常」の断絶 アイデンティティ=自己同一性は、理解していない人にとっては理解しがたく、理解してしまえばそれほど優しく使いや…

【特撮の存在論②】「SSSS.GRIDMAN」の新地平⑴

theyakutatas.hatenablog.com 現状を打破せよ 特撮をアニメが克服する 特撮に向けられた「批評」的眼差しとして 現状を打破せよ 特撮をアニメが克服する 多くの反論を恐れず言えば、「ウルトラマン」シリーズはかつての栄華が信じられないほどに衰退している…

【肯定するオタクたち⑥】彼らは一緒に登場しないがきっとデキている

theyakutatas.hatenablog.com 恣意的に不均衡を作る オタクは「肯定されたい」という願望を満たすために、自分が「知っている」一方、その対象は自分を「知らない」という世界を構築しようと試みる。 この不均衡を、オタクは恣意的に作り上げようとする。そ…

【肯定するオタクたち⑤】童貞は引くが、結婚はやめてほしい

theyakutatas.hatenablog.com 設定を甘受するオタクたち ここまでで見てきたのは、オタクたちの「肯定されたい」という生態。 そしてそんな欲求を、世界からあらゆる手段を使って満たしていく様子だ。あらゆる手段とは、南極へ行き、キャンプへ行き、戦車に…

【肯定するオタクたち④】オタクたちよ、カメラを手に取り絵を描こう

theyakutatas.hatenablog.com 見られずに見る方法 ニーチェが「深淵をのぞくとき、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」と言ったのだそうだが、オタクたちにとってそれは危機である。 つまりこれが意味するのは、「こちらが見ていれば向こうもこちらを見て…

【肯定するオタクたち③】肯定されるためなら南極にも行き戦車に乗る

theyakutatas.hatenablog.com 肯定されるためのユートピア 肯定されたいオタクたちは、自分たちのユートピアを築き上げる。 言ってみればそれが劇場版の「ドラえもん」における「未知の世界」であり、異世界モノにおける異世界である。 しかし、いちいち別の…

【漫画評】岡崎京子作品から見た現代の「女の子」

「マンガは文学になった」というコピーとともに度々紹介される漫画家、岡崎京子(1963~)。 彼女は80年代末〜90年代にかけて広く活動し、同時代の女の子たちを描くことで支持を集めたが、現在に至ってもなおその人気は途絶えていない。 このことは、彼女のマン…

Vtuberの展望──10年で終わらないコンテンツの為に①

この記事の執筆を始めた2018年12月は、バーチャルYouTuberが一般に広く認知され、また新人バーチャルYouTuberの参入が爆発的に増えたとされる2017年12月から丁度1年の節目である。2018年を“バーチャルYouTuber元年”とする声もネット上で散見される。このよう…

【肯定するオタクたち②】ふがいない主人公も異世界に行けば無双する

theyakutatas.hatenablog.com 異世界に行けばなんとかなる 前の記事では、映画ではのび太は異世界で強者になるということだった。 そう、オタクたちは「強くなれる場所」を求めている。もっと言えば、「支配できる場所」を求めている。 異世界モノを見てみれ…

【肯定するオタクたち①】映画のジャイアンはいつも優しい

オタクは肯定されたい オタクってなんなんだろう、ということを考えた本は多い。お互いを「お宅」と呼び合ったことから「発見」された彼らの生態は、エリートコースをたどってきた学者・評論家連中には面白かったに違いない。 実際、大塚英志・東浩紀・宇野…

【映画評】「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2 First Guardian」

映画「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2 First Guardian」における風刺的側面についての一考察 はじめに まず、この「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」3部作の2作目についてだが、1作目についても同様のテーマで記事…

【ヤミ市と文学】中里恒子「蝶々」

はじめに 本論考の目的は、〈ヤミ市〉という空間について、文学作品におけるその表象から考えてみることである。今回は、中里恒子「蝶々」(1949)(マイク・モラスキー編集『闇市』新潮文庫、2018年収録)を取りあげてみたい。 ヤミ市とは何か 本論に入る前にヤ…

【映画評】「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」

映画「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」における風刺的側面についての一考察 はじめに 2012年に放送が開始されたアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」は、2014年に2期、2015年に劇場版が公開された。 物語は22世紀の日本。鎖国下…

『盲目的な恋と友情』(辻村深月を読む#1)

はじめに 辻村深月という作家がいる。『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞、そのほか『ツナグ』が映画化されるなど社会的に評価の高い作品も生み出している作家である。 今回扱うのは、『盲目的な恋と友情』(新潮社、2014年)という作品である…

【特撮の存在論①】ウルトラマンとは何者か⑶

theyakutatas.hatenablog.com 「ウルトラマン」のディスコミュニケーション 「変身する」ということ アイデンティティはどこに 「ウルトラマンとは何者か」 大江健三郎の指摘 「ウルトラマン」のディスコミュニケーション 「変身する」ということ 考えてみれ…

【特撮の存在論①】ウルトラマンとは何者か⑵

theyakutatas.hatenablog.com 軍隊ではない 「境界」の組織 「助力者組織」と善悪の地平 「良い怪獣」を判断する「助力者組織」 中空としての「助力者組織」 軍隊ではない 「境界」の組織 多くの「仮面ライダー」作品と「ウルトラマン」作品の最大の違いは、…

【特撮の存在論①】ウルトラマンとは何者か⑴

はじめに 誰が特撮のアイデンティティを受け継いできたのか ヒーローとはどのような存在なのか 「宇宙人」ウルトラマン なぜウルトラマンは地球にやってくるのか 敵か味方か分からない 「助力者組織」はどこに はじめに 誰が特撮のアイデンティティを受け継…

【音楽】米津玄師「Lemon」

米津玄師 MV「Lemon」 米津玄師「Lemon」における「言わない」描写についての一考察 はじめに 米津玄師「Lemon」は野木亜紀子脚本のドラマ「アンナチュラル」主題歌としても採用され、多くのヒットチャートで1位を獲得し、カラオケでも数え知れないほど歌わ…

【音楽】ザ・スミス ”There Is a Light That Never Goes Out"

youtu.be 「ザ・スミス」というこのシンプルな名前のバンド。彼らは、80年代のイギリスを代表するオルタナティヴ・ロック・バンドだ。全メンバーが労働者階級出身で、マンチェスターにて結成された。彼らの少し後の世代ならoasisや、最近のロックバンドであ…

【書評】砂川文次「戦場のレビヤタン」

語り手・K 最近、橋本陽介の『物語論 基礎と応用』のおかげなどもあって、小説を読むときに「語り手」という問題に注意を払うことが多くなった。そうなると「今となっては」というような語り方が目に付くようになり、それだけで小説を読むのが楽しくなったり…