2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【肯定するオタクたち③】肯定されるためなら南極にも行き戦車に乗る

theyakutatas.hatenablog.com 肯定されるためのユートピア 肯定されたいオタクたちは、自分たちのユートピアを築き上げる。 言ってみればそれが劇場版の「ドラえもん」における「未知の世界」であり、異世界モノにおける異世界である。 しかし、いちいち別の…

【漫画評】岡崎京子作品から見た現代の「女の子」

「マンガは文学になった」というコピーとともに度々紹介される漫画家、岡崎京子(1963~)。 彼女は80年代末〜90年代にかけて広く活動し、同時代の女の子たちを描くことで支持を集めたが、現在に至ってもなおその人気は途絶えていない。 このことは、彼女のマン…

Vtuberの展望──10年で終わらないコンテンツの為に①

この記事の執筆を始めた2018年12月は、バーチャルYouTuberが一般に広く認知され、また新人バーチャルYouTuberの参入が爆発的に増えたとされる2017年12月から丁度1年の節目である。2018年を“バーチャルYouTuber元年”とする声もネット上で散見される。このよう…

【肯定するオタクたち②】ふがいない主人公も異世界に行けば無双する

theyakutatas.hatenablog.com 異世界に行けばなんとかなる 前の記事では、映画ではのび太は異世界で強者になるということだった。 そう、オタクたちは「強くなれる場所」を求めている。もっと言えば、「支配できる場所」を求めている。 異世界モノを見てみれ…

【肯定するオタクたち①】映画のジャイアンはいつも優しい

オタクは肯定されたい オタクってなんなんだろう、ということを考えた本は多い。お互いを「お宅」と呼び合ったことから「発見」された彼らの生態は、エリートコースをたどってきた学者・評論家連中には面白かったに違いない。 実際、大塚英志・東浩紀・宇野…

【映画評】「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2 First Guardian」

映画「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2 First Guardian」における風刺的側面についての一考察 はじめに まず、この「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」3部作の2作目についてだが、1作目についても同様のテーマで記事…

【ヤミ市と文学】中里恒子「蝶々」

はじめに 本論考の目的は、〈ヤミ市〉という空間について、文学作品におけるその表象から考えてみることである。今回は、中里恒子「蝶々」(1949)(マイク・モラスキー編集『闇市』新潮文庫、2018年収録)を取りあげてみたい。 ヤミ市とは何か 本論に入る前にヤ…

【映画評】「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」

映画「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰」における風刺的側面についての一考察 はじめに 2012年に放送が開始されたアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」は、2014年に2期、2015年に劇場版が公開された。 物語は22世紀の日本。鎖国下…

『盲目的な恋と友情』(辻村深月を読む#1)

はじめに 辻村深月という作家がいる。『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞、そのほか『ツナグ』が映画化されるなど社会的に評価の高い作品も生み出している作家である。 今回扱うのは、『盲目的な恋と友情』(新潮社、2014年)という作品である…